マウスピース矯正で失敗するケース|向かない歯並びとは

マウスピース矯正で失敗しやすいのは、抜歯が必要な歯並び、骨格のずれが大きい歯並び、装着時間を守れないケースです。装置は1日20時間前後つけるのが目安で、精密検査で向き不向きを確かめてから始めることが大切です。

透明で目立たない。食事のときは外せる。通院の回数も少なめ。マウスピース矯正は、仕事や人前に出る機会が多い大人にとって、とても魅力的に見える治療です。SNSや広告で「手軽に始められる」という言葉を目にした人も多いでしょう。

一方で、「思ったほど歯が動かなかった」「途中でワイヤー矯正に切り替えることになった」「前歯は並んだのに奥歯が噛み合わない」という相談も少なくありません。マウスピース矯正は、すべての歯並びに向いているわけではないからです。

この記事では、マウスピース矯正で失敗しやすいケースと向かない歯並び、期間と費用の目安、失敗の原因、うまくいかないまま放置したときのリスクを整理します。歯の動き方や仕上がりには個人差があり、治療の可否は歯科医師の診察が必要です。

こんな人に読んでほしい

  • マウスピース矯正を始めたいけれど、自分の歯並びに合うのか分からない
  • 矯正を始めて数か月たつのに、歯が動いている実感がない
  • 広告の「安い・早い・目立たない」を信じていいのか迷っている
目次

マウスピース矯正で失敗しないためには何をすればいい?

いちばん大切なのは、始める前に精密検査を受け、自分の歯並びがマウスピース矯正に向いているかを確かめることです。そのうえで、決められた装着時間を毎日守ります。この2つがそろわないと、計画どおりに歯が動きにくくなります。

マウスピース矯正とは?ワイヤー矯正との違いは?

マウスピース矯正とは、透明な樹脂のマウスピース(アライナー)を少しずつ形の違うものに交換しながら、歯を動かしていく矯正方法です。歯の表面に金具をつけるワイヤー矯正と比べて、目立ちにくく、取り外せるのが特徴です。

ただし、取り外せることは長所であると同時に弱点でもあります。つけていない時間は歯に力がかからないため、効果は装着時間に左右されます。日本矯正歯科学会の治療指針でも「効果は装着時間に影響される」と明記されています。

【セルフチェック】マウスピース矯正が向きにくい歯並びのサイン

鏡の前で歯を軽く噛み合わせ、正面と横から見てください。次に当てはまるものが多いほど、マウスピース矯正だけでは難しい可能性があります。最終的な判断は歯科医師の検査で行います。

  • 歯が重なり合って、並ぶすき間がまったくない……抜歯が必要になりやすいタイプ。歯を大きく動かすため、ワイヤー矯正を勧められることがあります
  • 口を閉じると下の歯が上の歯より前に出る……受け口(反対咬合)。顎の骨の大きさや位置が関係している場合は、矯正だけでは整えにくいことがあります
  • 横顔で口元が大きく前に出ている……口ゴボと呼ばれる状態。前歯を大きく後ろへ下げる必要があり、難しい症例になりやすいタイプです
  • 歯がねじれている、極端に低い位置にある……大きな回転や、歯を引き出す動きが必要なタイプ。マウスピースが苦手とする動きです
  • すき間が少しある、前歯が少しだけ重なっている……軽いケースで、マウスピース矯正が検討しやすいタイプです

精密検査で何を確かめる?

精密検査では、歯の表面だけでなく、歯の根の位置や顎の骨の形まで確かめます。日本矯正歯科学会によると、治療前の検査は問診、口の中の診査、X線写真、顔と口の写真、歯型が基本です。

マウスピース矯正では、治療前にコンピューターで歯の動きのシミュレーションを見せてもらえることが多いです。ただ、同学会の指針は、このシミュレーションには歯の根の位置の情報が欠けていると指摘しています。画面上でうまく並んで見えても、そのとおりに動くとは限りません。シミュレーションだけで決めず、検査結果の説明を受けることが大切です。

装着時間は1日何時間が目安?

一般的には、1日20〜22時間程度の装着が目安とされています。外してよいのは、食事と歯みがきの時間くらいです。2〜3時間の外食や飲み会が続くと、それだけで装着時間が足りなくなります。

次のマウスピースに交換したとき、きつくて入りにくい場合は、前の段階で歯が十分に動いていないサインのことがあります。無理に押し込まず、担当の歯科医院に相談してください。

やりがちなNG:自己判断で外す時間を増やす・交換を早める

「今日は会食があるから」「痛いから少し休もう」と外す時間が増えるのは、よくある失敗のきっかけです。数日の小さなずれでも、積み重なるとマウスピースと歯の形が合わなくなります。

反対に、早く終わらせたくて交換のペースを自分で早めるのも避けましょう。歯が動き切る前に次の段階へ進むと、計画からずれる原因になります。交換の時期は、歯科医師の指示に従うのが基本です。

うまく動かないときはどうする?

計画どおりに動かないときは、マウスピースを作り直したり、一部にワイヤー矯正を組み合わせたりして対応するのが一般的です。日本矯正歯科学会のアンケートでも、思わぬ事態への対処として多かったのは、ワイヤー装置の併用とマウスピースの再製作でした。

途中でやめるかどうか迷っている場合は、歯列矯正を途中でやめるリスクは?やめる前に考えるべきポイントを解説も参考にしてください。自己判断でやめる前に、担当の歯科医師に今の状態を確認してもらうことが大切です。

マウスピース矯正の期間と費用の目安は?

期間は部分矯正で数か月〜1年程度、全体矯正で1〜3年程度が目安です。費用は部分矯正で10万〜40万円程度、全体矯正で60万〜100万円程度が一般的な目安です。歯並びの難しさや歯科医院によって大きく異なります。

種類 期間の目安 費用の目安
部分矯正 数か月〜1年程度 10万〜40万円程度
全体矯正 1〜3年程度 60万〜100万円程度
保定期間 1〜2年以上 数万円〜程度

上の金額には、検査料・調整料・保定装置の費用が含まれない場合があります。マウスピース矯正は基本的に保険が使えない自費診療です。契約前に、総額でいくらかかるかを書面で確認しておきましょう。

部分矯正と全体矯正はどう違う?

部分矯正は、前歯など一部の歯だけを動かす方法です。期間も費用も抑えやすい反面、奥歯の噛み合わせまでは整えられません。前歯の見た目だけを整えた結果、噛み合わせに違和感が残るケースもあります。

全体矯正は、奥歯を含めた歯並び全体と噛み合わせを整える方法です。「安いから部分矯正で」と決める前に、自分の歯並びに部分矯正が合うのかを確認してください。

追加費用がかかるのはどんなとき?

マウスピースの作り直し、ワイヤー矯正の追加、治療期間の延長などで追加費用がかかることがあります。料金に「作り直し何回まで込み」と書かれていても、条件が細かく決まっている場合があります。

日本矯正歯科学会も、料金の安さや通いやすさだけで医院を選ばないよう呼びかけています。説明に納得できるまで、複数の医院で相談するのもひとつの方法です。

治療後の保定にも期間と費用がかかる?

かかります。歯を動かし終えた直後は歯が元に戻ろうとするため、保定装置(リテーナー)で位置を安定させる期間が必要です。日本矯正歯科学会によると、取り外し式の保定装置は1年以上、できるだけ毎日使うことが求められています。保定装置の費用が別料金になっていないかも確認しておきましょう。

マウスピース矯正が失敗する原因は?

失敗の主な原因は、向いていない歯並びで始めてしまうこと、装着時間が足りないこと、検査と診断が十分でないことの3つです。どれか一つでも当てはまると、計画どおりに仕上がりにくくなります。

向いていない歯並びで始めてしまう

日本矯正歯科学会の治療指針では、マウスピース矯正が推奨されにくい例として、抜歯が必要な症例、歯の大きな移動が必要な症例、大きな回転や歯を引き出す動きが必要な症例、骨格性のずれがある症例が挙げられています。反対に、軽いすき間や軽い歯の重なりなど、大きな移動を伴わない症例は推奨される例とされています。

マウスピースは歯を「傾けて」動かすのが得意で、歯の根ごと平行に動かすのは苦手とされます。そのため、歯を大きく動かすケースでは、ワイヤー矯正の方が計画どおりに進めやすいことがあります。

装着時間が足りない・患者さんの協力が得にくい

同じ指針では、患者の協力度が低い症例も推奨されない例に入っています。マウスピース矯正は、毎日の装着を本人が管理する治療です。忙しい時期や、外すことが多い生活スタイルの人は、始める前に続けられるかを考えておく必要があります。

検査や診断が十分でないまま始めてしまう

日本矯正歯科学会は、診断と治療計画は必ず担当の歯科医師が行い、矯正の専門的な診断能力や経験が欠かせないとしています。歯の根や顎の骨の状態を確かめずにシミュレーションだけで進めると、画面どおりに動かないことがあります。

担当医が矯正をどのくらい専門にしているかが気になる場合は、日本矯正歯科学会の認定医・専門医の名簿で調べることもできます。

こんな理由で後悔する人がいる

よく聞かれるのは、次のような後悔です。実際の体験談ではなく、相談でよく見られる傾向として紹介します。

  • 「前歯はきれいに並んだのに、奥歯が噛み合わず食べにくくなった」という相談が多い
  • 「安さで選んだら、途中でワイヤー矯正を勧められて結局高くついた」と感じる人もいる
  • 「歯は並んだが、口元が思ったより下がらなかった」と後悔する人もいる
  • 「保定装置をさぼったら、数か月で歯並びが戻り始めた」という声もある

矯正のやり直しについては、歯列矯正でやり直しはできる?失敗の原因と再矯正のリスクを解説します!で詳しく解説しています。

AGO TOKYO SALONで多い相談:噛みぐせと顔の左右差

AGO TOKYO SALON(小顔整顔サロン)では、「矯正中から顔の左右差が気になりだした」「マウスピースをつけてから食いしばりが強くなった気がする」という相談をよく受けます。マウスピースの厚みで上下の歯が当たりやすくなり、無意識に噛みしめてしまう人がいるためです。

私たちが見ていると、片側でばかり噛む癖、頬杖、スマホを見るときの前かがみの姿勢がある人ほど、顔の左右差を気にしている傾向があります。歯並びそのものを整えるのは歯科医師の役割で、サロンでは扱いません。ただ、日中に上下の歯を離す意識を持つ、左右均等に噛む、頬杖をやめるといった日常の習慣は、矯正中でも自分で見直せます。顔の左右差が気になる場合は、まず担当の歯科医師に相談したうえで、生活習慣の見直しも取り入れてみてください。変化の感じ方には個人差があります。

食いしばりが気になる人は、食いしばりとナイトガード|エラ張り・顔の歪みへの影響も参考にしてください。

うまくいかないまま放置するとどうなる?

計画どおりに動いていないのに放置すると、噛み合わせのずれが大きくなったり、治療期間と費用がさらに増えたりするおそれがあります。違和感に気づいた時点で相談するのが、結果的にいちばん負担の少ない選択です。

奥歯が噛み合わなくなることがある

マウスピースは歯の噛む面を覆う形をしているため、奥歯が少し沈み込むように動くことがあります。日本矯正歯科学会の指針でも、奥歯が押し下げられることがある点が留意点に挙げられています。前歯だけが当たる、奥歯ですりつぶしにくいと感じたら、早めに伝えてください。

歯並びが元に戻る「後戻り」が起こる

治療後に保定装置を使わないと、歯は元の位置に戻ろうとします。日本矯正歯科学会によると、気になるほど戻ってきたときは、早めに主治医に相談すると再治療が短期間で済むことが多いとされています。後戻りについては歯列矯正後の後戻りとは?原因は?予防策と日常生活の改善ポイントで解説しています。

顎や筋肉に負担がかかることがある

噛み合わせがずれたままだと、片側で噛む癖がつき、顎やこめかみ、首まわりの筋肉がこわばる人もいます。口を開けると顎が痛む、音が鳴る、口が開けにくいといった症状がある場合は、歯科医師の診察を受けてください。

時間とお金を二重にかけることになる

うまくいかないまま治療を続けたり、途中でやめて別の医院でやり直したりすると、期間も費用も重なります。「おかしいかも」と感じたら、まずは担当医に今の状態とこの先の見通しを聞きましょう。説明に納得できなければ、別の矯正歯科でセカンドオピニオンを受ける方法もあります。

よくある質問

マウスピース矯正で抜歯が必要な歯並びは整えられる?

可能な場合もありますが、難しくなりやすいケースです。日本矯正歯科学会の指針では、歯の移動量が少なく、傾ける動きだけで整う場合を除き、抜歯が必要な症例は推奨されにくい例とされています。適応は歯科医師の検査で判断します。

マウスピース矯正は1日何時間つければいい?

一般的には1日20〜22時間程度が目安です。外すのは食事と歯みがきのときだけと考えてください。具体的な時間は担当の歯科医師の指示に従いましょう。

マウスピース矯正の途中でワイヤー矯正に変えることはある?

あります。歯が計画どおりに動かないとき、一部にワイヤー装置を組み合わせたり、ワイヤー矯正に切り替えたりして対応することがあります。追加費用の有無を、契約前に確認しておくと安心です。

受け口や口ゴボもマウスピース矯正で整えられる?

軽い場合は検討できることもありますが、骨格が関係している場合は難しいことが多いです。横顔の口元が気になる人は、歯列矯正では口ゴボは治らないって本当?難しい歯並びと改善方法まとめも参考にしてください。治療法は歯科医師の診察で決まります。

まとめ

マウスピース矯正は、目立ちにくく取り外せる便利な矯正方法です。ただし、抜歯が必要な歯並び、歯を大きく動かす歯並び、骨格のずれがある歯並びには向きにくく、装着時間を守れないと計画どおりに進みにくくなります。

失敗を防ぐ近道は、精密検査で自分の歯並びが向いているかを確かめ、総額や作り直しの条件を納得してから始めることです。始めたあとは1日20時間前後の装着を守り、違和感があれば早めに相談してください。仕上がりには個人差があり、治療の可否は歯科医師の診察が必要です。矯正の種類や費用の全体像は、歯並びの悩みまとめ|矯正の種類・費用・期間の基本で整理しています。

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参考情報

施術の前と後
施術の前と後

顎と、顔の下半分は、手で変えられます。

AGOメソッド®『Butterfly touch』は、道具も機械も使わず、手だけで顎関節と顔の下半分を整える技術です。施術は全国のセラピストが行っています。お住まいの地域から探して、そのままお問い合わせいただけます。

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写真はご本人の許可を得て掲載しています。変化の出方には個人差があります。

この記事を書いた人

「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」代表。オールハンドで顔の印象を整えるAGOメソッド®を開発。女性の経済的・時間的自由を実現するセラピストスクールは450名以上が受講。

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